〈看護職〉丹羽 良太

大変さの中に、楽しさ、やりがいがあり、子供に誇れる仕事です。

私の母も当施設に勤務していました。看護学校の卒業を目前にして就職先を選ぶ時に、もっと大きな病院に就職することも考えたのですが、ずっとおじいちゃん、おばあちゃんと同居で育ち、近所の高齢の方と関わることも好きだったため、母のお陰で当施設を身近に感じていたこともあり、こちらに入社を決めました。希望して入社を決めたものの、入社前はこの仕事が務まるのか不安でした。実は今でも不安です。病気への対応には薬や治療方法がありますが、認知症の方への対応に正解はないので、利用者さんに落ち着いてここで生活してもらうためには、たくさんの配慮が必要です。不安だからこそ、大変だからこそ、より良い看護、介護を目指して技術を磨き、どうしたらいいのか頭で考えて、習ったことを応用して、先輩方を見て良いと思ったことを取入れる、試行錯誤の繰り返しですね。

終末期の利用者さんに立ち会う度、この人にいい看護が出来たのか、自問自答します。

私は看護師として利用者さんのお世話、医療行為を行っています。介護老人保健施設の性質上、医療行為は一般の病棟よりも比較的少ないのですが、医師の指示の元、スキルアップのため日々勉強を続けています。最初の頃は人とのコミュニケーションの取り方でつまづくことが何度もありました。ふいに出た言葉で意図せず相手を傷つけてしまったことや、言わなくていいことを言ってしまったり・・・、数々の失敗から、声掛けの仕方や、関わり方、話し方を、先輩方を見て学びましたね。

終末期を迎えた方に立ち会う機会もありますが、その度に、この人にいい看護、介護が出来たのかな、と自分に問いかけます。最高齢で107歳の方をお見送りしたことがありますが、ご家族に、「ここで看取ってもらえて良かったです。」の言葉をいただいたのは今でも忘れられない出来事で、自分たちの救いと励みになっています。

利用者さんやご家族が、安心して生活し、ここに預けて良かったと思ってもらえる看護、介護を目指して。

子ども心にも、働いている母は大変そうだけれども、楽しく、やりがいのある仕事をしているんだな、と思っていました。私も二人の子供の父となった今、子供たちに胸を張って自慢ができる仕事をしていると自負しています。看護、介護は大変なイメージもありますが、その大変さの中に、やりがいや、色々なことに挑戦し、自信につながることや、日々の学びがあります。これからも、利用者さんが生きてきた背景を見つめ、当施設の目指す支援の姿「その人がその人らしく」居られるような介護、看護を目指したいと思います。